泣ける話

父の行動に感謝する話

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今から数年前の出来事です・・・。
当時、ウチは確か小学4年生で、農家の多い田舎に住んでいました・・・。
その日もウチは、いつものように学校、行き普段のように授業を受けとったんだ。

平凡な1日に終わるはずやった。
「彼」が登場するまではさ・・・。

あれは何時間目やったかな???
担任の先生の授業を、聞いていて黒板の文字を模写しとった・・・。
すると前方のドアから、1人の男性が入って来ました。
なんかみたことあるような!?
なんと、それはまぎれもなくウチの父やったんだ。
なぜ!?と・・・・。

仕事着のまま父は、そのまま教室の後ろまで歩いて何気のうたっとった・・・。
どうやら授業参観の態勢に入ったらしいんだ。
ウチはわけがわからずただただ凍りついとったんだ・・・。
案の定、となりの席の男子がウチのことをからかいまんねん・・・。
「オイ今日授業参観やんけやろオノレの父さん何しにきたんだ」
そうやんな。その通り今日は授業参観やないし・・・。
父も学校にくるなんてこと一言も逝ってなんだよ!?

せやけどまあ父のことだ・・・。
なんとなくそないな気持ちになってしもたのやろう・・・。
まあ、それにしても担任の先生も驚く・・・。
彼は、何事もなくいつものように授業をしとるんや。
ウチには信じられなんだ・・・。
父を注意して欲しかった・・・。
ほんで、ほんで長い長い四十分が続き、妙な空気のまま1人だけ参加の授業参観が続いたんだ。
ウチはもう恥ずかしうて逃げ出したい気持ちでめっちゃやったさ。
ほんで、家にいんだらなんといって怒りを父にぶつけようかと必死で考えとった。
長い長い、40分が過ぎすぐいぬはずの父は教室の展示物やら飼育しとった小動物に目を奪われとる。
担任の先生は笑顔で親切に丁寧に説明を始めた。
父は楽しそうに説明を聞き何やら質問し感心したようにうなずき、納得し、ほんで深々とお辞儀をし帰っていった。
家にいにウチは父が仕事場から戻るのをひたすら待った。
父のことは大好いとった。父は少しけったいなところもあるが、明るく楽しく何より子煩悩な人やった。
ウチはそれまで反抗したこともない娘やった・・・。
せやけど今日のことはどうしても許せへん・・・。
何と言って父に抗議してやろうと考えとった。

いつものように父は帰ってきた。ほんでウチの顔を見るなり満面の笑みで静かに話し始めた・・・。
「今日は父さん、仕事にあきができたから、学校にいったんだ。」
「ほら、普段の授業参観の日は、平日で父さん見に行きたいけど仕事が忙しくて行けなんだからさ。」
「前からオノレの勉強してるところみたかったんだ・・・。」
「おれの姿勢悪いなぁ・・・」
あぁ、さようか。
ウチはそれまでめっちゃにしとった怒りが一瞬にして消えていくのを感じたさ。
父やって、1人で教室に入るのには少し抵抗があったに違いひん。
けれど、父はみたかったのだ、ウチの授業を。
父はひたすらウチの背中を見つめてくれた40分。
ウチは父に「そう。」
と一言いって夕飯を食べたさ。
やっぱり父は少し変わっとるなあと思ったものの悪気のない父を責めることも出来なんだ。
時がたつにつれてウチはあの40分をえろう贅沢な時間に思うようになりよった。
あの日の授業は、私と父やけどための授業参観やった・・・。
ほんで10年の月日が流れ、父は大病に倒れあの世に逝ってしもた・・・
父との思いでは数々あるが、短い人生をまるで知っとったかのように深く
愛していてくれたことに感謝の気持ちでめっちゃやで。
ほんまありがとうな。


私の自慢のお父さんの話
今日は親父の命日だな





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