思い出の煙草の話 2話
煙草を吸い出してから田舎に遊びに行った時なんだけどいつも帰る寸前は軒先で吸っていました。それを見ていた家の叔母ちゃんが、「そこで吸うと美味しいかろ爺さんも父さんもそこで煙草吸ってから、家を出ていったんよ」と聞いてそれから弟と2人少しでもと親父達と共通の思い出の時間がほしいと火をつけて吸わずにずっとずっとそこから見える風景を眺めるようになりました。
大学に入って恋人が出来た。
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私の事が好きだと言ってくれてこの人なら好きになれそうだと押されて付き合ったんだ。
話しの流れで私が煙草を吸ってることを知った恋人は、「もう吸わないで」と言った。
私はその時「付き合ってるからって指図されたくない。○○の前では吸ったりしないし、関係ない。なんでそんな事言うの?」
とちょっと不機嫌になったんだ。
でも恋人は、好きな人の身体を心配するのは当然だよ吸ってほしくないと言ってくれた。
いまいちピンと来なかったけど一生懸命そう言う恋人を見て吸わないと言った。
恋人も以前は煙草を吸っていた人でヘビースモーカーの友達とバイトしていたときにはガマン出来ずに喫煙してた時があったんだ。
その時私は「人に吸うなっていうんだから○○も吸っちゃだめだよ」と怒ったんだ。
また恋人は煙草をすわなくなった。2人で煙草はだめだよと言い合った。
今思えばそれもちょっとした束縛だったのかな・・・。
私は恋人を本当に好きになって好きな人と一緒にいる喜びとか愛しさを知ったんだ。
でも私の気持ちが彼への思いでいっぱいの時に恋人の気持ちはゆっくりと冷めていったんです。
恋人の変化に戸惑って・・・・。何度も電話したりメールを送った。
この先どうなるんだろうと思って眠れない夜を過ごした。食事も食べられなくなって5キロ痩せた。
結局そんな毎日に疲れて私は恋人に「別れよう」とメールを打ったんです。
恋人は引きとめもせず、あっさりと私達の関係は終わった。
煙草を買って火をつけて、一緒に撮ったプリクラと写真と2人で行った場所のチケットを破って捨てたんだ。
毎晩毎晩泣いて・・・。恋人の夢を見て朝起きて途方にくれる。
いつかまた私を愛してくれる人が現れたら禁煙しようって思います・・・。
では恋人も一服・・・。
そして数年前姉が死んだんだ。白血病で。煙草が嫌いで酒は20歳で止めていたのに。
2年近くも無菌室に入っていて、白い肌が自慢だったのに、死んだときは真黒になってたんだ。
自分自身、「いつ死んでも動じない」ってつもりでいたし通夜の夜はそうしていた。
お葬式が済むと焼き場に行ったよ。みんなが泣いている。
一旦家に帰り時間を潰して焼きあがったころにもう一度焼き場に行く。
骨だけになっていた。それを壷に入れて箸で潰してぐしゃぐしゃにして蓋をする
身長160センチの姉が高さ40センチに満たない壷に収まった。
急に泣きたくなった。隠したくて胸元探りながら親戚の兄ちゃんに訊いた。
「煙草吸っていいですかね」
声が初めて震えた。兄ちゃんは困った顔で「駄目だろ」と言ったんだ。
それから自分でも止められないくらい泣いて父親にしがみついて泣いた。
そして帰って、誰にも見られない部屋で吸った。
フィルターが手についた涙でふやけるくらい泣きながらさ。
ふやふやになった煙草の味と形・・・・。一生忘れられない一本です。
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