俺は高校で軽音部に入ってバンドを組んでいた。
そのメンバーの中に、いつもリーダーと呼ばれて皆から慕われてる奴がいたんだ。
リーダーはすごく几帳面で、日記帳なんかを持ち歩いていた。
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ある日、俺はリーダーがトイレに行ってる間にその日記帳を読んでみた。
この行為はリーダーが日記帳を持ってるって知ったときからやってた。
リーダーは几帳面なわりに結構鈍感で、俺のその行為に気付いていなかった。
そこには、「なんか病気が見つかったんだって。俺にはよくわからないけど、もうすぐ死ぬってことは理解できる。文化祭のライブは出来そうだから、最高のライブにしたい」
と書いてあった。
え、何これ。ベタなドッキリだなー・・・。
本当に下手過ぎるよww
とか言ってみたが、その虚しい独り言には説得力がなく、泣きそうになった。
そのすぐ後にリーダーが帰ってきたが、やはり俺が日記帳を読んだことには気付かない。
そして1カ月ほど経って文化祭。
リーダー「もうすぐで俺らの番だな。最後のライブなんだし、最高のライブにしような!」
俺は心を決めた。何がなんでも最高のライブにしてやろうと思った。
2曲ほど弾き終わり、リーダーのMCが始まる。
「なんか、大学でも軽音部あるかわからないし、もはや人生最後のライブになるかもしれないw」
会場は沸いたが、俺にはその言葉の意味が理解できた。泣いた。
「おい俺、なーに泣いてんだよー。泣いてたら次の曲を歌えないだろ」
リーダーはドラム担当だから歌えないし、ギターの奴は喘息持ってて歌えないので、俺がベース兼ボーカルをやっている。
「うん、ごめん。でも最後の、ライ、ブなん、て、寂しい、もんだよ、な」
その言葉もちゃんと話せて無かったっぽい。
『俺君、頑張れー』
会場のどこからかそんな言葉が聞こえてきた。
「よし、やるぞー!」
リーダーのその掛け声でライブの、俺の高校最後の、そしてリーダーの人生最後のライブの最後の曲が始まる
ライブは大成功だった。
そして、その数ヶ月後にリーダーが亡くなった・・・。今、俺はベースを練習しつつ、ドラムを始めた。
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