君が天国へと旅立ってからもう1年。
君は今も天国から僕を見てくれてるのかな。
君は僕の生まれて初めて出来た彼女だった。
ものすごく嬉しくて、ものすごく幸せだった。
でもある日突然君は倒れて病院に運ばれた。
医者から白血病だって宣告された君は病室で日に日に弱っていった。
「入院ってヒマよねえ」って笑う君に合わせて一緒に笑っていた僕。
でもその後、僕は一人になって泣いた。
そうそう、君は僕が使って手あかやスリ傷のついた青チャートをあげたらとっても喜んでくれた。
そして、受験勉強をするようになった君がいつも受けていた模試、それが「全統記述模試」だった。
ある日、君はいつものように笑いながら言った。
「ほら見て、今回偏差値70いったよ。」
「あまり無理して勉強ばっかしてると身体に障るよ。」
なんて僕が注意すると、
「ごめんね。でもね、このアンテナ見てよ。ほら、あたしで最後、ふふ。」
僕は黙っていた。
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君がすごく嬉しそうで、僕はそれ以上何も言えなかった。
「ほらみて、同点順位じゃないよ、きっとあたしの次の人、くやしぃ~!って思ってるよ、ふふ。」
僕はまだ黙っていた。
笑う君を見て、どうしようもなく悲しくなった。
「憶えててくれるかなあ」
君がふと言った。
「…この次のひと、私がいなくなっても、あのとき変な奴のせいでアンテナ載れなかったんだよなー
なんて、憶えててくれないかなあ……無理かな……憶えてて、ほしいなぁ……」
それから数ヶ月後、君は家族と僕に看取られながら病室で静かに息を引き取った。
君はもうこの世にいない。
なのに今僕は一人で全統記述模試を受け続ける。
君の事を、君の次だった人が思い出してくれるように、いつまでも、いつまでも忘れないように。
君の次だった人が僕の次になるように、天国にいる君に変わってアンテナギリギリを狙う
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