「おつかれさま、また明日ね」
アルバイトのKは翌日も普段通り16時に出勤してくるハズだった。私が出勤したら、明らかに妙な空気、慌ただしく電話している上司、沈痛な表情で仕込みをしているシェフ達……。
「今朝、Kが火事で亡くなった。。。」
原因はタバコの不始末でした。開業資金を貯める為、朝から晩までバイトを掛け持ち、朝目覚めの一服で亡くなりました。
酒、タバコ、そして競馬が大好きだった。
独立して店を構える為に、物件も決まった矢先だった。
いつも好きな焼酎を飲みながら、夢を語り、彼の話に周りは半信半疑だったけど、熱く語る夢をひそかに応援してた。
ちょっと変わり者だったけど、不器用で嘘のつけない、純粋な人でした。
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数日経ってから、その日Kは朝のアルバイトが休みだった事を知りました。昼までゆっくり疲れを癒やせたはずなのに、いつもの早朝に目が覚め、いつものようにタバコに火を付けたんだと思います。
でも、朝休みだって知っていたら、
「おつかれさま、カウンターで飲んでいく?」
って言えたかもしれない。お酒を飲んで、ぐっすり寝たら、早朝目が覚めなかったかもしれない。
そう考えずにはいられませんでした。
彼の夢は叶わなかった。
でも、私は灰皿に水を張って使い、それを周りに薦めています。
彼の死を無駄にしない。
それが同僚として、仲間として出来るせめてもの事だと思っています。
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