不潔な生徒の本当の姿の話 後編です。
それはクリスマスの午後の話になります。
その少年が小さな包みを先生の胸に押付けてきたんです。
後で開けてみると、香水の瓶だったんです。
亡くなったお母さんが使っていた物だとすぐにわかりました。。
先生はその一滴をつけて夕暮れに少年の家を訪れました。
雑然とした部屋で独り本を読んでいたんです。
少年は、気がつくと飛んできて先生の胸に顔を埋めて叫んだんです。
「ああ、お母さんの匂い!今日はなんて素敵なクリスマスなんだと・・・。」
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そして月日が流れて私は6年生で少年の担任ではなくなった。
卒業の時に先生に少年から1枚のカードが届いた。
「先生は僕のお母さんのようです。そして今まで出会った中で一番素晴らしい先生でした!」
それから6年してカードが届いたんです。
「明日は高校の卒業式です。僕は5年生で先生に担任してもらってとても幸せでした。おかげで奨学金をもらい、医学部に進学することができます。」
そして10年経って、またカードがきた。
そこには先生に出会えた事への感謝と、父親に叩かれた経験があるから、患者の痛みが分かる医者になれると記され、こう締めくくられていたんです。
「僕はよく5年生のときの先生を思い出します。あのまま駄目になってしまう僕を救ってくださった先生を神様のように感じます。医者になった僕にとって、最高の先生は5年生の時に担任して下さった先生です」
そして1年。
届いたカードは結婚式の招待状だったんです。
カードには「母の席に座って下さい」と一行、書き添えられていました・・・。
この時に私は思わず泣きました。
私はあなたに出会えて良かった、そういうあなたに私もなりたい。
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