その人はいっこ上の先輩で同級生、後輩からも「たくちゃん」って呼ばれてた。
初めて話したのは小学校の運動会の時。俺の小学校は全学年ごっちゃまぜで行われる。
俺は青組みだった。その中に、明らかに体のバランスのへんな人がいた。それがたくちゃん。
たくちゃんは障害で生まれつき身長があまり伸びない。「小人病」らしい(本当にこんな病名あんの?)
たくちゃんは初対面の俺らにも明るく話しかけ、同級生にも人気があった。
それを機に俺はたくちゃんと仲良くなった。
たくちゃんは俺んちの近くの団地に住んでいて、そこには小さな公園もあった。そこは俺らの遊び場だった。
ミニ四区やハイパーヨーヨー、ポケモン・・・・
学校が終わると、上級生も下級生も皆がそこに集まった。
たくちゃんは話がうまく、誰にでもやさしい初めて公園に来るグループにも積極的に話しかけてやる。俺たちはかなり仲良くなった。
たくちゃんは中学に上がると、部活などで公園にくることも無くなって一年間ぐらい会わなかった。
やがて俺も中学にあがったが、なんとなく知らない上級生といるたくちゃんには話しかけづらく前みたいに楽しく話すようなことはなかった。
関係は変わったがたくちゃんの身長は変わらなかった。
中学の卒業式の時に見たたくちゃんは俺の腰あたりに頭があった。
そのうちたくちゃんは地元も高校に進学した。
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一年後俺はたくちゃんとは違う電車で15分ぐらいのとこにある高校に進学した。
それからずっとたくちゃんのことなんて忘れていたと思う。
高1の二学期も、もう終わるかという頃、俺は地元の友達と遊んでた。
皆で歩いていと、たくちゃんの通う学校の前に同級生らしき人とたくちゃんがいたが、様子が少し変だった。
たくちゃんが一人前を歩き、その他何人かが後ろを歩く。
嫌な予感は当たりたくちゃんはそいつらに後ろから小突かれたり、チビだのと言われていた。蹴られたりもしていた。
俺は、心臓がかなりバクバクして何故か焦った。どうしていいか分からなかった。
すると、一緒にいた俺の友達がたくちゃんのほうへ走っていって、後ろの奴にいきなりとび蹴りをした。
そのあとは、俺も参加してもうごちゃごちゃの大乱闘。本当に奴等が許せなかった。
明るいたくちゃんがイジメをうけている、このことに本当動揺した。悔しくて、許せなかった。
喧嘩は泣きながら向かっていく俺らにビビって相手が逃げた。大勝利。
この後、たくちゃんと久しぶりに少し話した。
2日後ぐらいに、10人ぐらいのDQNが学校帰りの俺を駅で待ってた。
何発か殴られて、MDと携帯壊されて金取られた。
乱闘に参加したほかの奴等のとこにも来たらしい。
奴等は俺の名前を知っていた。何故かはすぐに予想できた。たくちゃんが話したんだろう。
けど、怒りとかは無かった。親は腫れた顔見てびっくりしたが、大事にはせずその日はすぐに寝た。
そして、次の日たくちゃんは死んだ。地元の文化ホールから飛び降りて。
遺書なんかはなかったらしいが、たぶん裏切った俺らに合わす顔が無いと思ったんじゃないかな。
たくちゃん優しいから。
何で、んなこと気にしたんだよ。脅されたんだろ?俺らの名前なんかいくらでも言っちゃえって。
そんなこと気にしあうような仲じゃないだろ、バカ。
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