いじめられっこがいじめられなくなった話 後編です。
おばあちゃんは元気で通学路の途中までいつもいっしょに歩いてきてくれます。
ごはんはみんなおばあちゃんが作ってくれてとてもおいしいんです。
お母さんが働いているので父兄参観の時にはおばあちゃんが来てくれます。とてもうれしいよ。
みんなはおまえの母ちゃんババァなんだとからかってくるのではずかしったけどさ。
でもとてもやさしいいいおばあちゃんです。本当に大好きなんです」「だからお父さんがいなくても僕はあまりさびしくありません。
お母さんとおばあちゃんがいてくれるからです。
お母さんはお父さんがいなくてゴメンねと言ったりするので早く僕が大人になって仕事をしてうちの家族のお父さん代わりになって
お母さんとおばあちゃんの生活を楽にしてあげたいと思います。だからお父さん僕はがんばるからね。おばあちゃんには長生きしてねといつもいっていて、お母さんにはいつも肩をもんであげています。2人とも泣いたりするのですこしこまるけどさ、そんなお母さんとおばあちゃんが僕は大好きです。」
僕はしゃべった。先生には死んだお父さんのことを書けばいいのにと言われると思ったし、クラスの子達からはおまえお父さんがいないのか?もしかして捨て子だったんじゃねえか?とまたイジメられるのかなと思ったりしていたんだ。
そして・・・・。
先生は立ったまま泣いていたんだ・・・・。
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先生だけではなかったんだ。他の子たちもみんな泣いていたよ。
僕が始めて好きになった初恋の子は、机にうつぶして泣いていたんだ。
イジメていた子たちもみんな泣いていたんだ。
でも僕にはなぜみんな泣いているのか分からずにいたよ。
どうしてなの!?
お父さんがいないからお母さんとおばあちゃんの事を仕方なく書いたのにさ。
どうしてみんな泣いているのだろうか?
「〇〇君・・・」
「はい・・・・・」
「先生は人の心が分からないダメな先生でした。ゴメンなさい。
世の中には親御さんのいない子もいるのにね・・・。
そういう子たちの事も頭になくてお父さんの事を書いてだなんて
あなたの事も知らなかったとはいえ本当にごめんなさい・・・。」
先生は顔を覆ったまま泣き崩れていた。
それがその日起こった出来事だったんだ。
次の日からイジメられなくなった。
相変わらず口悪くからかったりはされたけど殴られる事はなくイジメのリーダー格の子に遊びに連れていってもらえるようになったんだ。
先生はその後の家庭訪問でその日の出来事をおばあちゃんに話して謝っていたんだ。
作文の事は僕は話もしていなかったので少し怒られたけど話を聞いた母も、
今は亡くなったばあちゃんも、うれし泣きみたいなくちゃくちゃの顔で叱ってくれたんだ。
僕も立派な、人に誇れるような仕事はしていないけど
家族のおかげで一人前の大人の男にはなれたとは思うんだ。
大人になった今でもその時の事はなぜか覚えているし
ふと思い出したりもするよ。これが僕がかける自分の思い出です。
おばあちゃん!おとうさん!ずっと見守っててね!
ありがと。
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